UTOPIA


TRAVELING REPORT / 01

 

マテ茶を探す旅

アルゼンチン/ミシオネス州

 

その2:「アルゼンチン、ブエノス・アイレスへ」


日本でマテ茶について調べたが、やはり情報量はかなり少ない。特に農薬・化学肥料無使用のマテ茶になると、どんな種類が実際にあるのか、まったく情報を得られなかった。
マテ茶の主な栽培地はアルゼンチンの北東部とパラグアイ東部、ブラジル南西部である。その中でも最大の産出国はアルゼンチンであるらしい。
これはもうアルゼンチンに直接行ってみるしかない。
私たちはアルゼンチンの首都、ブエノス・アイレスへ行くことにした。

 

 

ブエノス・アイレスは私たちが日本のブランド代理店をしているPlanarの本拠地。
私たちが今回の旅の航空券を予約したのは出発のわずか5日前。
そんな急な連絡にも関わらず、planarのデザイナー夫婦は快く受け入れてくれ、ブエノス・アイレス滞在中は家に泊めてもらえることになった。

30時間のフライトを終え、ブエノス・アイレスにたどり着いたのは夜の21時。
日本からは地球の反対側に位置しているので、時差は12時間、7月の気候は真冬。
冷たい冬の空気を感じながら、久しぶりのブエノス・アイレスに心が躍る。
planarのデザイナー夫婦、パブロとルシーラが空港まで迎えにきてくれ、半年ぶりの再会を喜ぶ。
異国の地で知り合いの顔を見るとほっとする。

 



その日は二人がアルゼンチンの国民的料理、エンパナーダを作ってくれ、思ってもみなかったおもてなしに感動。
旅の間に受けた親切はずっと忘れることがない。
きっといつか、この日のことを思い出して懐かしむんだろうなぁ…
そんなことを考えながら肉汁たっぷりのおいしいエンパナーダを頬張る。

 



 

実は農薬/化学肥料無使用の認定を受けているマテ茶というのはアルゼンチンでもそんなに多くはない。
日本茶と同じく、スーパーで販売されている多くのマテ茶は企業の大量生産品で、農薬/化学肥料無使用のマテ茶は家族経営などの極めて小さな農園でしか作られていない。

けれど、私たちの条件は「農薬/化学肥料無使用であること」「フェアトレードであること」そしてもちろん「味が良いこと」である。

パブロとルシーラには前もってそのことを伝えていたため、良質のマテ茶が集まるお店をすでにいくつかピックアップしてくれていた。
農薬/化学肥料無使用でフェアトレードであれば片っ端から購入し、数日かけて全部で20種類ほどのマテ茶を集めることができた。

あとは味である。
それぞれのマテ茶を入れてテイスティング。
ひとくちにマテ茶と言っても、こうやって飲み比べると味は全然違う。
苦味の強い物、少ない物、香ばしい物、フレッシュな物、ストロングな物、マイルドな物…と多種多様な味があることがわかる。
皆でテイスティングをしてランキングと感想を記していく。

Planarのデザイナー二人は小さい頃から日常的にマテ茶を愛飲しているのに対し、私たちは知識も少ない日本人。
きっと味の好みは違うだろう…と予想していたのだが、なんと偶然にもベスト3はすべて同じ物だった。

 

 

やはりおいしい物は国籍や経験が違えど、同じなのかもしれない。
満場一致でこのベスト3の農場にコンタクトを取ってみることにした。
それぞれの電話番号はいくら調べてもわからなかったのでメールを送り、あとは待つのみ。

また、二人はそれぞれの友人たちに声を掛けてくれ、それらの小さい農場を良く知っているフリオさんという人を見つけてくれた。
彼はマテ茶栽培のお膝元、ミシオネス州で茶葉を乾燥させる仕事をしているらしい。
前もって連絡を取ってみると、彼も歓迎してくれている様子。
私たちがメールを送ったそれぞれのマテ茶農家もやはりミシオネス州の農家だったので、私たちはブエノス・アイレスを離れ、ミシオネス州に移ることにした。

その3「ポサーダスの夕暮れ」に続く


[マテ茶探しの旅]

記事一覧

その1:「マテ茶との出会い」
その2:「アルゼンチン・ブエノスアイレスへ」
その3:「ポサーダスの夕暮れ」
その4:「"マテ茶"をたずねて三千里と絶望」
その5:「マテ茶の神、降臨」
その6:「オベラで再び途方に暮れる」
その7:「まさかの出会い」
その8:「上手くいくこともあれば、いかないこともある」
その9:「マテ茶のすべてを知る」
その10:「最後に」