UTOPIA


MISSION 02

アフリカの果てで葛藤する

ナミビア/ オプウォ・ヒンバ村

 

ナミビアの北の北、ヒンバ族に会いに行く。僕は、民族に会いに行くというのが好きではない。ただ、世界で一番美しいといわれる赤い民族、ヒンバ族をこの目で見てみたいという気持ちも否定出来ない。しかし、会いに行って、やれ「文明が入っていて、期待はずれだった」とか、「商売っ気がでていて嫌だった」と思ってしまうにきまっている。商売っ気もでるし、文明も入ってくるだろうと思う。彼らも生きていて、商売をして、より良いと思う暮らしを求めたとしても不思議ではない。文明が入っても仕方がない。そもそも自分が会いに行ける距離に彼らは住んでいるのだから。僕以外の観光客もきっと会いに行っているだろう。そして何より、まったく知り合いも誰もいない民族に会いに行くという響きが、自分の思考の中に、相手を少し下に見ているというか、差別的な要素を含んでいるのではないかと思ってしまう。会いに行くべきなのか、そうでないのか。

日本を離れて旅をしていると、日本ではあまり経験しない事に出くわし、こういう葛藤をするシーンがあって、例えば、物乞いの子供に「何かちょうだい」と手を差し出された時も葛藤してしまう。渡すべきなのか、そうでないのか。結局の所、自分で考えて答えを出すしかないのだと思う。何を選択したとしても、正解なんてものはなくて、出した答えは、同じような場面が次に訪れたとき、よりうまく考え、行うきっかけでしかないのだと思う。 オプウォまでの道すがら、上半身裸で、赤土を身体に塗ったヒンバ族の女性が、携帯で電話をかけながら、ATMでお金をおろしているのを見たとき、そのあまりにも自然な姿から、すっと胸のつかえがとれた気がした。

 

※一番上の写真の女性は、ヒンバ族の女性ではありません。近くの村、ゼンバ族の女性です。

アクセス&ポイント
ナミビアの首都、ウィントフックから北上すること700km。オプウォという小さな街を目指します。オプウォの街に入ってすぐのスーパーマーケットの駐車場に、エリザベスという名前の女性がおり、 彼女に話をするとヒンバ村へ案内をしてくれます。ヒンバの人たちへのお土産を忘れずに。塩、砂糖、小麦粉が喜ばれます。

 

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